Spiral Love *桜の下でまた逢おう*

「あと・・・・・・花も咲いていないのによく木を眺めてるわ」



ドキンと、静かに胸が動き出した。


懐かしい感覚。



けど・・・今の私にはもう必要ないもの。



小さく動き出したその感情を抑えるように、私はぎゅっと手のひらを握り締めてた。



「あの木は、ああ、あれよ」



佑のお母さんが続きを言うのが怖くて。


もうそれが何かはわかってる。


本当は耳をふさぎたかった。



・・・でもそれは「本当」?



・・・・・「本当」は?



私の本当の気持ちは・・・・・・どこ?







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