Spiral Love *桜の下でまた逢おう*

帰り道はどちらとも何もしゃべらなかった。



どちらかと言うと、私が何かを言っても、



元は生返事ぐらいで、他に何かを考え込んでるような感じだった。




元?



不安が胸によぎる。



その瞬間、元がつながれたままの手にぎゅっと力を込めたのがわかって、



私は隣を見上げたんだ。



そこには、いつもの



いつもの元のニカッと笑った顔があって、



私は泣きたくなるほどホッとしたんだ。



ぐいっと引っ張られたその手の力強さに。



「ほら!行くぞ!」



いつものようないきなりの強引さもに。



私は自分が安心するだけで、彼の本当の気持ちを気づいてあげることができなかったんだ・・・・・・。



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