Spiral Love *桜の下でまた逢おう*

着いたのは、夕暮れの太陽がオレンジ色に照らし出している・・・二階堂高校。



「学食のおばちゃんがさ、元ちゃんに彼女が出来たら一番に紹介して、って言ってたんだよな」



そう言いながら照れくさそうに鼻を手でかいてみせて、元は笑った。



「けど・・・今日はもういないみたい、だよな」




ちらほらと下校している生徒の数もそんなに多くはなくて。



私達は校舎を見上げた。



「懐かしいね・・・」


「あぁ」



この前は夜だったからほとんど見る事のなかったこの思い出の場所が今は目の前に大きくそびえたって私達を見下ろしてる。



「よく、抜け出したよな。初めはいっつもつかまってたのに・・・」



元の言葉の先、

彼が抜け出す秘訣を教えてくれたんだ。


でも、元はその先は言わずにただ、


「ほんと・・・なつかしー・・・・・・」


って私に言うわけでもなく、口の中でただつぶやいた。



< 243 / 296 >

この作品をシェア

pagetop