Spiral Love *桜の下でまた逢おう*
こんなところに、
こんなタイミングで彼がいるはずがないのに。
臆病な私は振り返ることも出来ずに、ただ、元の服をしっかりと掴んだ。
離さないで、元・・・。
「元・・・?・・・・・・ミオ?」
背中に響く彼の声が、心に響いてくる。
まるで何かの鍵のように、私の心臓が反応し始める。
と、同時に感じる痛み。
「佑さん、久しぶり」
元のいつもどおりの口調と、さっと握られた手に、私はほっとして、
ようやく後ろを振り返った。
もう・・・・・・私は大丈夫。