Spiral Love *桜の下でまた逢おう*

佑は、「じゃぁ」と手を挙げて、校舎の影に消えていった。



しばらくその方向から目を離すことが出来ずに、私達はただ黙って立ちすくんでいたんだ。



「実桜・・・ごめんな」


ふいにかけられた元の言葉になぜか私の目から涙がこぼれだす。


「ごめん」


なんで謝るの?


でも、涙が止まることなく流れていく。


私はただ首を横に振って元の胸に顔をうずめた。



元はそんな私の頬を両手で包んで、顔と顔をあわせた。



「実桜、俺と結婚してくれる?」


元・・・。


そんな私をもう一度優しく引き寄せて、元は笑ったんだ。






< 248 / 296 >

この作品をシェア

pagetop