Spiral Love *桜の下でまた逢おう*

木々が葉っぱを落とす頃には急に寒さが厳しくなって、



夕方の掃除の時に思わずぶるっと身震いをした。



今日の空はくもり。



明日は雨がふるかも・・・。



見上げた空から目を落とし、開館中の札を閉館中に切り替える。



今日はあんまり人は来なかったな。



エントランスにごみが落ちていないことを確認して、私は図書館を後にした。



「倉吉さん!」


「あ、藤さん、おつかれさまでした!」


「今日もこれから?」


「ええ」


「じゃ、そこまで一緒に」


「はい!」



藤さんは私の2つ上の先輩の女性職員。


司書資格を持ってない私にとって、頼りになる司書さんだ。


「勉強進んでる?」


「え?それをききますか?」


「聞くでしょう。そりゃ」



私が司書資格を取るために勉強してることを藤さんは応援してくれてる。


家庭を持っていない私と藤さんがこうやって遅番になることは少し多くて、


一緒に近くのバス停までこうやって歩くのも日々の日課みたいになってることはある。




< 78 / 296 >

この作品をシェア

pagetop