△の○


重苦しい食事の空気にもようやく慣れた。

誰も料理なんてしないから、今日も弁当屋まで俺が原付を走らせて来た。
店にある弁当の種類なんて限られているし、もうそろそろ飽きがきてるんだけど、
皆で外食でも、という雰囲気ではまだないのだ、俺達は。

ナオはいつもの鮭弁当、俺はから揚げ弁当とハンバーグ弁当をテーブルで食べた。
アヤちゃんはエビフライをかじりながらテレビの真正面に胡坐をかいている。
クッションでも下に敷けばいいのに、フローリングにそのまま座ってる。
裸足の指がたまに居心地悪そうに曲げられる。
眉間に皺を寄せながらバラエティ番組を凝視している様子がなんとも滑稽だ。
本当は面白くもなんともないだろうに、無理矢理そっちに集中している感じ。

今日は日本代表のサッカー試合の中継があるんだけど、俺にチャンネル権はないみたい。
明日部員の誰かにビデオでも貸してもらおう。
試合の結果はケータイで見よう。


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