△の○




自室のドアを思い切り閉めて、あたしは唇を噛んだ。
そして先ほどトラが言った言葉を、イライラと思い出す。

何が「男は」だ。    


男って偉そうに胸を張るなら、まともに女と付き合えばいいじゃない。
ナオの事好きになっておいて、それはないでしょ。
ナオだから好きになったなんて・・・ヒドイじゃないか。

それじゃあたしとおんなじだ。


男なら、他の女をみつけてよ。
星の数ほど女なんているじゃない。
どうしてよりによってあたしのナオを好きになったりするのよ。

どうして

どうして

どうして

数え切れないくらい何度も頭の中で繰り返した。

・・・でも。

ホントは分かる。

それはやっぱり、「ナオだから」、なんだろう。
あたしが不思議なくらいナオを求めるのと同じ強さで、
あるいはそれよりも強く、トラもナオを求めてる。
ナオがどんなに優しくて愛しい存在か、あたしはよく分かってる。
トラも、それに気づいてしまったんだ。

だから腹が立つ。


ナオはあたしだけのものだったのに。 
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