△の○
橙の向こう側
◆
あたしとナオが出会ったのは、空に近い所。
でもあたしは空ではなく、
脚下一面に広がる、
黒いアスファルトを目指そうとしていた。
中途半端な高さのビルからは、下の人達が寒そうに身を縮めて歩く姿まで見えた。
こんな所から飛び降りて、ちゃんと死ねるのだろうか。
やだな、変に打ち所がよくて、助かっちゃったら・・・。
地面に激突したものの死に切れず、手足が変な方向にまがって血やら何やらを頭から流してる自分の姿を想像したら、不覚にも決心が揺らぎそうになった。
そこで慌てて嫌な事を思い出す事にした。
そうよ。
あたしは今まで生きてきて、
いい事なんて一つもなかったんだから。