アメ玉
しかし、
またもやアタシは動けなかった。
「動かなかった」と言うべきかもしれない。
昇降口までは行ったものの、
声をかけることが出来なかった。
遠ざかっていく健ちゃんの
後姿を見るのはこれが2度目だった。
呆然と立ち尽くすアタシは、
昇降口から見える、
空を見つめ、唇を噛んだ。
演劇部の部室に入るやいなや、
涙が溢れ出した。
「大丈夫?」
心配してくれた友達は、
アタシの今の状況を察してくれていた。
「・・・言えなかった。」
そう言うのが精一杯だった。
「電話で告白してみたら?
アタシそうしたよ。」
友達の一人がそう言った。
え?
電話なんて考えてなかった。
5時に終わる卓球部を待ち伏せ
しようか、という無茶なこと
を考えていたアタシは電話に感動した。
結果的に、
アタシは電話で告白することにした。