Black world sky
 女神は俺様を落ち着かせるように穏やかにこう話す。


「ライロンは魔王じゃなくて魔術師だったでしょ?だから殺しても大丈夫」

「あ…そうだった…」


 女神はそれから声を強めてこう言った。


「でも、また別の異世界で魔王を探してきてね。そのメグって子も連れて」

「へいへい。…って、メグも連れてくのか!?」


 俺様がそう言うと、女神の声は聞こえなくなった。


「あのヤロー…」

「ひ…独り言終わったみたいだね…それでさっき私がどうのこうの…」


 メグは俺様の話を聞いていたのか…仕方がない。こうなったらメグも巻き込んでしまおう。

 俺様はメグに向き直ると、こう言った。


「メグ…この世界で借金に苦しむぐらいなら、俺様と一緒に異世界に魔王を探しに行かないか?」

「え…」


 メグの顔は固まっていた。だが、俺様が剣を腰から抜こうとしていたので、メグは慌ててこう答えた。


「な…何か命の危険を感じそうだけど、借金も気にしなくて良いし、ついて行くよ…」

「ありがとうな!」


 それにメグはあの時のライロンの魔法で死ななかった…。つまりはメグも少しだけ醜い心を持っているのだろう。ならばこの先、俺様が何をしようと普通の奴よりは文句を言わないかもな…

 俺様は剣を腰から抜くと、あの呪文を唱えた。


「テスティング!」


 俺様とメグの存在がこの世界から消えていく…次の異世界で存在する為に。

 早く魔王を見つけないと…絶対に俺様は全世界を我が物にしてやる…


第一章
「夕闇の街スヴェン」
終了
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