幼なじみは先生


「分かった」


あたしはそう言って砂浜から立ち上がった

「いたっ…」

両足に激痛がはしる

履き慣れないヒールの高いものを履いてきたせいだ…

「ほわっ…」

足がよろつく

そんなあたしに気づいたのかいっくんはあたしの方に振り返った

『どうせ、ヒールの高いやつなんか履いてっから足、痛てぇんだろ』?

ニッと笑みを浮かべてあたしを見つめる

「痛くなんてないもん」

意地を張ってそう言うと平気なように砂浜をドシドシと歩いた

ヒールが砂浜に埋もれ、転びそうになる

「わっ」

そんなあたしをいっくんは後ろからすっぽりと片腕で受け止めた

「あ、ありがとう…」

赤く染まった頬を隠すかのように顔を俯かせる

『バーカ。おぶってやっから乗れ』

そう言って砂浜にしゃがみ込むいっくん

また…まただ。

前も遊園地に行った時におんぶをしてもらった

前だけじゃない

昔も…

「いいよ、悪いし」

そんなあたしをよそにいっくんはあたしの腕を掴んだ

フワッと足が浮かぶ
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