幼なじみは先生
『台詞』
甘い低いとろけそうになるボイス
あたしはハッとして台詞を言った
「だ、大丈夫です!全然平気なんで!ありがとうございました」
ぺこりとお辞儀する
『平気じゃないだろ。膝、怪我してる。女なんだから気にしなくちゃ』
ドキン…
演技って分かってるのに…本当に聞こえてしまう
「あ、本当に平気…」
『はい。これ使って?じゃあね』
そこで第二シーンが終わった
「はい。カット!!」
佳木さんが床をハリセンで叩く
周りの子はほとんどいっくんを見て「かっこいー」とか言ってた
佳木さんは
「ナイス!二人共!!ああ…なんて素敵なの」
と、自分の世界に入っている
あたしはというとまだドキドキと高鳴る胸をきゅっと抑えていた
演技なのに…
いっくんにときめくのが悔しい
これはまだ好きって証拠だ
あんな甘いボイスを耳元で囁くなんて
反則すぎるよ…。