幼なじみは先生
「…杏?」
杏はゆっくりと顔を上げてあたしを見た
視線が重なる
ズキン…
胸が痛んだ
杏の顔は今にも泣き出しそうで…
今にでも零れ落ちそうな涙を瞳に浮かばせて歯を食いしばっていた
「離してあげて…」
数人の女子に訴える
「は?人の彼氏に近づく女よ?これぐらいの痛みなんてちょろいもんよ」
そう言って鼻で笑う彼女
「そんな事して何になるんですか…?貴方みたいな人が彼女なんてありえない。杏を離してください…」
自分でも驚く程低い声が出た
杏を…それ以上傷つけないで…
こんなにも泣きそうなのに…酷すぎる
杏はもう制服を着ている
あたしは先輩をかき分けて杏の鞄を取るとギュッと杏の手を握った
歩きながら喋る
「大丈夫だよ。杏」
杏は無言のまま
涙を…堪えてるんだよね
負けたくないっ…って
あたしはきゅっと杏の手を握りしめた