幼なじみは先生






「ン…」

目をゆっくりと開ける

あれ…あたし

「って!寝てるしっ!」

自分で自分をツッコム

その瞬間、ハッとして両手で口を押さえた

チラッといっくんを見てみる

「へ?」

瞳を開けてオデコに腕を当ててる彼

『フッ…ありがとな』

微笑みながらあたしの頭をクシャッと撫でる

「お‥起きてたんだ」

やっと言葉を発するあたし

"ありがとな"なんて言いながら笑って頭撫でるなんて…反則だよ

弾む胸を押さえながら息をする

ふと、テーブルを見ると、小さい鍋に入れていた雑炊が空っぽだった

もしかして…

いっくんを見つめる

ドクン‥ドクンッ

弾む鼓動

冷たかったはずなのに…あたしのこと、起こしてくれたら…温めてたはずなのに…

ねぇ…いっくん

心の中で問いかける

「ありがとう…」

小さくボソッと呟いた

『何か言ったか?』

「ううん、別に」

"ありがとな"なんて台詞…こっちの台詞だよ

いっくんのその何気ない小さな優しさが凄く好きなんだ…

"ありがとう"

いっくん…


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