幼なじみは先生



―――――
――…


「え…帰るの?」


リビングのソファーに座りながら濡れた頭をタオルで拭いているいっくんに聞く


お皿を洗い終わった後、お風呂に入っていたことに忘れていたのに気づき、先にあたしが入っていっくんが入ったのだ


『そんなに長居してても悪いしな、体調も大分よくなったし』


いっくんの前髪の雫がポタッと床に落ちた


その姿に、目が惹きつけられる


「そっか…」


もう、帰るんだ…

でも‥仕方ないよね

ぶんぶんと頭を横に振って仕方ないと自分に聞かせる

それから何十分かすると『昨日はありがとな。じゃな』と言って玄関の靴を履いた

ガチャ…

ドアが開く

『じゃあな、本当にありがと』

下唇を噛み締めて服の裾をぎゅっと握る

「ま…待って!」

『ん?どうした?』

「くだ、さい…えっと」

そこで言葉を詰まらせる
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