幼なじみは先生

ヒュンッ

「とわっ」

フェンスに思わず頭を打つ

いったぁ…

「嫌、出来る」

なんてひとりで呟きながらまたバットを構えた

チラッといっくんまた見てみる

カキーンッ…

汗ひとつかかずに打ついっくん

瞳が吸い寄せられる


ヒュンッ

バンッ

ボールがまたひとつ足元に転がる

ハッとして我に返ってまたバットを構える

ヒュンッ

「へ…?」

パッと顔を上げるとボールが目の前にきていた

「ヒッ…」

ギュッと両目を瞑る

……………………

「あれ…?」

痛く‥‥ない?

ゆっくりと瞳を開く

目の前にはバットが一本
バットの下に落ちているボール

もしかして‥‥

横を見てみるとバットをあたしの目の前にやっている姿の彼がいた

「いっくん…」

ハァ…とひとつ溜め息を吐く彼

『怪我…してないか?』
優しくあたしの方を見てゆっくりと言葉を放つ

あたしは首を小さく横に振った


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