幼なじみは先生


『ごめん。保健室…行くか?』


カアア…ッ


顔が赤く染まるのがわかる


「いいいいっ!離して…!」


フッと無邪気に笑ういっくん


え……?

何?


『冗談だっつーの!ほら、これ』


そう言ってポケットから中指と親指に挟めたバンソーコーをヒラヒラと前に見せられる


あたしの手の中に収まるバンソーコー。


「こんなの…いらないもんっ!冗談だなんて‥‥いっくんのバカ」


頬を赤らめながら優しくバンソーコーを握り締めるとバンッとドアを閉めた

トクンッ…トクンッ


鼓動がリズミカルに音を立てて弾む


ゆっくりと丸めていた手を広げるといっくんからのバンソーコーを見つめた


いらないなんて言ってちゃっかり持ってきているあたし。


だって―…


思わず口角が歪み、あたしはきゅっと優しく包み込むとゆっくりとまた廊下を歩き出した――――――――――……。



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