二人の虹
第1障 それぞれの春
その若者は東久志という。
今夜もまた天体観測をしている。
趣味であろうか?。
仕事であろうか?。
場所はマンションのベランダである。
推測は容易い。
仕事をしているとするなら、そこで行うハズはない。
何故?。
人それぞれの趣味がある。
夢もある。
久志の場合、どうにも目的は理解し難い。
どうやら気象予報士に成りたいようだが〜。
では、勉学?。
全く外れでもない。
本気で目指しているようだから〜。
では、その実体は?。
何の事はない。
平凡なサラリーマンである。
それに満足していないのか?。
そこに大きな問題がある…。
…しているのだ、平凡な毎日の仕事に〜。
では…。
難題である。
気象予報士〜目指して〜それが夢〜?。
〜ではないのだ。
久志の夢は途方もない。
およそ凡人の思慮分別の範囲にない。
名前を付けたいのだ。
何に…。
星だ!。
久志は新星を発見し、「ヒサシ」という名を付け、未来永劫に残したいのだ!。

その意味、久志の夢は限りなく野心に近い。
野心家?。
一見して、そうは見て捕れない〜。
平凡な〜何処にでもいる若者〜。
見ようによっては2枚目に近いかも…。
東久志…彼の夢は果たせるか…。
< 1 / 10 >

この作品をシェア

pagetop