二人の虹
その完璧な一人暮らしの久志は、壁際のラックに置いてある短波ラジオのスイッチを入れた。

「ガー!、ジー!」

というノイズ…。

「あれ、またチューニングずれか」

と、ダイヤルを廻す。

「ポンコツ…」

と、メーカーさんに失礼な言葉を発し…。

「北海道、函館付近上空に1052mbの高気圧があり、広く北日本を覆い、東北南部には〜」

気象解説である。

気象情報ではない。

情報〜と、解説〜では意味合いが全く違う。

つまりは久志は、地図を広げ、等圧線を書き込み、玄人はだしの「予想」をしているのだ。

そう、気象予報士を目指して…。

新星発見の為、電波望遠鏡を使う〜

天文台に出入りする〜


その手段を確保する為〜。

「うん、快晴だ」

と、呟いて満足そうな笑顔を見せた。
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