二人の虹
次から次へと荷物は運ばれ、全て積み終わった。

運転手は尋ねた。

「配達先へはどなたか受け取り人が?」

「ああ、息子があちらで待機してますんで〜」

あちらって何処だろう…。

「引っ越される方は?」

「ん、エーと…」

ホラ、お父さん、勘違いしてるって。


「娘が後から電車で向かいます」

「ああ、遠いですからね、盛岡は。でも、今のご時世は新幹線であっという間〜ですからね」

「え、ええ、そうですね」


何か、つじつま合わせみたい。

トラックは出発した。

「晴美、お昼ご飯食べて出掛け支度なさい」

うん、と頷く晴美。

祐司がメソメソしている。

「どうしたの?、お父さん」

晴美は問い掛けた。

分かってやれよ、親心…。

「さあ〜ご飯にしましょう。晴美、しばらく家では食べれないんだから、ゆっくり味わってね〜」

食卓に向かった親子はひと時の団欒を楽しんだ。

「いよいよ…だな…。晴美」

「長い間、お世話になりました…」

「うん、うん、幸せにな」

ええ〜。

「何、言ってるの。二人とも…嫁ぐんじゃないでしょう」

「冗談だって〜」
と晴美。

ビックリした〜。
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