音速より速く。【短編集】
店を出ると、爽やかくんが「家まで送るよ。」と言って駅に向かい始めた。



「あ、大丈夫!!家近いから!!」



「警戒してんの?」


「あ…別にそんなんじゃ。」



「てかミキちゃんって俺の名前覚えてる?」



「…えーと…。」


正直言って名前なんて覚えてない。


でもそんな事言うのも失礼だし…。



「俺、アキって名前だから。今度は忘れないでね。」


「…うん。」



「じゃあ、家行こっか。」


気づいたら、私の家ではなく反対方向の電車に乗っていた。



「あの、私の家こっちじゃ…」


「まぁ、いいから、いいから。」


最後まで言い終わらない内に言葉を遮られた。
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