Honey★Prince
その時……。
あたしの唇に何かが触れた……。
優しく温かい浪川くんの唇が――……
優しいキスだけど……だけど、あたしの求めているのは、あの人のだけだよ。春人の唇だけだよ?
切ないんだか悲しいんだかわからないけど、急に泣きたくなってきた……。
でも、ここで泣いたらだめ。起きちゃあだめだよ。
あたしは泣くのをグッとこらえた。
そして、浪川くんはあたしの髪をそっと撫でた。
優しい浪川くんの愛は十分に伝わってきたよ。浪川くんのことは人間として友達としては好きだよ。……でも、そこに『愛』はないんだ。愛しているのは春人だけ。あたしは春人だけしか愛せない。春人だけしか見えないんだ。
ごめんね………。