ガジュマルの木の下で
私が「食べないの?」と尋ねると
「…食べてる」
と 泣きそうな声で返ってきた。


思わぬ反応に驚いている祥子を他所に
喜志は席を立って居間へと行ってしまった。
けんは素知らぬ顔で口を動かし続ける。

「あ…あの、ごめんなさい」
「祥ちゃんが謝ることじゃないよ。喜志も大人げないし…俺がこの家に来たころにはもう、今くらいしか食べて無かったしな」


「けんさんがこの家に?」

「あぁ…」
けんさんはそう頷いて
話し出した。

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