ガジュマルの木の下で
私がトーストを焼いているあいだに、喜志ちゃんがバターとハチミツを出してくれた。
本当いうと、今日はパンにはイチゴジャムの気分だったけど
出された通りに
たくさんハチミツをかけて食べた。
正解だと思った。


ハチミツたっぷりのトーストと、手作りジャムがたっぷり入ったヨーグルト。

この家の朝食は、いつでも飛びきり甘い。ハムやチーズや卵は、朝には絶対出てこない。


食べ終わって縁側で本を読んでいると
喜志ちゃんがやってきた。
「見せて」

読んでいた小説を見せると
所々指をさして
「なんて読む?」
「どういう意味?」
と聞いてくる。
「矛盾」「吹田」「他人行儀」だの、こんなこともわからないの?と言いたくなるようなことばかりだった。
すると私の表情を読み取ったのか

「喜志、学校行ってないから。」
と ぼそっと言ってまた本へと目を落とした
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