ガジュマルの木の下で
え そこですか

と心の中でツッコミを入れたけれど
喜志ちゃんがやったことだからと、なんだか私は、小さな子供の親の心境のようだった

「あー!」

急にあがった叫び声に
驚いて覗き込むと
喜志ちゃんの手の中のサンダルには、こう彫られていた。

【キシ】

「ねぇショーコ。これ喜志の島ぞうりだった」

嬉しそうに話す喜志ちゃん
訳のわからない私。

「よくね、ビーチで脱いじゃうの。で、気付いたら裸足。」

だから喜志のぞうりはそこら中にある

すっとぼけたことを言う喜志ちゃんを後に
私は
坂道を歩いた。
あそこで道が途切れる…



道が終わり
雑木林を少し抜けると


私の目は
海に支配された。


一瞬 何も考えられなかった。
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