ガジュマルの木の下で
「クジラいた?」

気が付くと喜志ちゃんはすぐ後ろにいた
遠くまで見える海

すぐ足元は崖になっていて波が次から次へと押し寄せている。
例えこんなに穏やかな日だろうと、落ちれば怪我どころでは済まないだろう。


祥子は波打ち際を見ていた
喜志は祥子を見ていた。

「喜志ね」

先に口を開いたのは喜志だった。

「ここから飛んだことあるの」


え…



彼女が何を言っているのかわからなかった。
だけどすぐに理解出来た。


喜志はここから飛び降りたんだ。



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