ガジュマルの木の下で
カフェオレを受け取った喜志は、「アリガト」と言って一口飲んだ。
そしてフーと息を吐くと
さっきの写真に目をやった。

「あの写真、喜志だよ」

祥子は喜志と写真を見比べていた。

「この赤ちゃんが喜志ちゃんなの?」

「そう。ママにだっこされてる」


写真の中の女の人は
少しだけ喜志ちゃんに似ている。愛しそうに赤ちゃんを見つめるその女性には、一点の曇りすら無いように見える。
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