ガジュマルの木の下で
突然、一気にカフェオレを飲み干すと
喜志は立ち上がり台所に立った。
冷蔵庫の中からパイナップルを出し
「喜志、ケーキつくるから」
と祥子に申告し
黙々と作業を始めた。



急に話を中断した喜志ちゃんを
私は食卓に突っ伏しながら見てた


いつの間にかうとうとしてしまっていた。
曖昧な意識の中で
いろんなことを考えた
この家に流れる空気は何時だって心地好かった。
このレコードの音も
オーブンからの甘い匂いも
レコードに合わせて歌いながら、私の背中をぽんぽんと叩くこの土地の母も

どうしてだろう
なんでこんなに優しいんだろう
喜志ちゃんの手の暖かさを感じながら
私はまた目を閉じた。
目を覚ましてしまったら

こんな幸福は消えてしまうんじゃないかと思ったの。
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