ガジュマルの木の下で
そんな時
彼女は何時だって
目を潤ませて言うんだ

「あの人達は喜志を愛してくれてるんだから」

と。だから基地を悪く言っても、喜志のことは好きでいてくれる。
…まるで自分に言い聞かせるように。

そんな姿を見る度に
私はどうしようもない気持ちに襲われた。


こうして今日のように
穏やかにケーキを焼く彼女を、私は久しぶりに見た気がした。
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