ガジュマルの木の下で
私の前に、生クリームをたっぷり乗せたパウンドケーキが置かれた。
「ショーコなに飲む?」

「牛乳のみたい」

喜志ちゃんが牛乳を用意してくれている間に
私は待ちきれなくてケーキを口に運んだ

温かいパイナップルの酸味が広がる。


「ショーコはさ-。パイナップル温かいの食べられるのね」
牛乳を持って来てくれた喜志が言う。

「あ、ありがと。パイナップル?食べられるよ?むしろ温かいの好き-」

「けんはね、温かいパイナップルは嫌がるの。ピザでも入ってるの頼まないし、酢豚にも入れない」

「あ-。苦手な人多いよね」

「喜志は温かいの好きだよ?」

「私も好き」

もぐもぐと口を動かしながら何でも無い話を続ける。
「ショーコ、パイナップルだけちょーだい」

「良いけど…喜志ちゃんもせっかく作ったんだからケーキごと食べたら?」

「そんなにお腹すいてない」

そう言いながら喜志は私の皿に手を伸ばしてパイナップルだけを食べる

「けんが帰ってくるまでにケーキ冷まさなくちゃ。また温かいパイナップルなんていやだ-って言うし」

「あは-。けんさん子供みたい」


あ。


「おれが何だって?」
< 44 / 63 >

この作品をシェア

pagetop