ガジュマルの木の下で
目を覚ますと、隣には喜志がいた。
しかもここはテトラポットの上では無い。布団の上に寝かされていた。
…私の部屋か…。
「喜志ちゃん」
私が呼び掛けると、彼女はハッとしたような顔を見せた。そして優しい母の顔をした。

「ショーコ、病院行こうか」

祥子がイヤイヤと断っても、喜志は私を引っ張って車に乗せて
健一郎を呼んだ。

けんさんが運転する車の中で、喜志ちゃんは終始無言だった。
怖くは無かった。

だけど不安だった。
喜志ちゃんのこんな顔は見たことないもの
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