ガジュマルの木の下で
どれくらいの時間が経ったのかはわからなかった
ただ、同じことをグルグルと考えていた。
いや 考えなんかまとまらなかった。


「喜志ちゃん」


と、私はこの土地の母の名を、何度も何度も何度も何度も呼んでいた。

しばらくして
一人の看護師さんが部屋から出てきて
私達の顔をじっと見た

彼女が言葉を発するまでの時間が永遠のように感じられた。
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