REGRET ―忘れられない人―



兄貴は笑う?


中学時代の彼女を今でも想っている俺を。




でも、兄貴がもしも、中学時代に直さんに出会ってしまっていたら?


幼くて、ちゃんと直さんを守れなかったら?




きっと俺と同じように、直さん以上に愛せる人に出会えず苦しんでいただろう。





「今度、紹介するよ」



俺はグラスをテーブルに置き、窓から見える薄っぺらい月に視線を移した。



「もし、兄貴がもっとガキの頃に直さんに出会ってたらどうした?」



俺の意味不明な質問に、兄貴は真剣に答える。



「いつ出会っても同じように好きになったと思う。どこで会っても、どんな関係で出会っても……」




ここまで言ってもらえる女の人ってなかなかいないと思う。


自分の兄だけど、

今、まじでかっこいいと思った。







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