REGRET ―忘れられない人―



兄貴の車で家まで送ってもらうことになり、車の中でまた話し始めた。



俺は、花帆の話をした。


中学時代の彼女で、すぐに別れてしまったけど、ずっと忘れられなかったと。


そして、今日その彼女に再会し、俺はまだ好きなんだと確信した。




兄貴は、うなづきながら俺の話を聞いていた。




「で、子供がいることをさっき知ったってわけか」




「そう。でも、明日遊ぶ約束をした。俺は、子供がいるって知ってもちっとも冷めなかったんだよな」




不思議。

自分でも。




今までの彼女では考えられない。



付き合っていて、『妊娠したかも』とか言われると、俺はなぜか冷めた。


しかも、それはいつも嘘だった。


俺の気持ちを確かめるための女の嘘。



そういう女ばかり選んでしまった俺が悪いけど。




「見直したよ」



兄貴は、俺の顔を覗き込んで、ニヤっと笑う。



「俺も。俺自身も自分がそんな気持ちになるなんて」





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