REGRET ―忘れられない人―
花帆の娘の父親のこと、気にならないわけじゃない。
兄貴には、娘がいる。
でも、一緒には暮らせない関係。
今、兄貴の娘は、兄貴じゃない別の男と暮らしている。
兄貴にとって、その娘が大事なように、愛花ちゃんの父親も愛花ちゃんを大事に思っているのだろうか。
もし俺が花帆と付き合うことになれば、俺がその男の立場になるわけだ。
兄貴の娘は、今でも兄貴をちゃんとお父さんと思っていて、時々会っていると言う。
子供にとって、実の父親ってやっぱり特別なんだろうな。
「俺、お父さんって思ってもらえるのかな」
ため息をつくと、兄貴の左手が俺の頭を叩いた。
「ば~か!気が早いって。まだ始まったばかりだろ!」
偶然だけど、何か不思議なめぐり合わせを感じる。
兄貴と俺のこの境遇。