REGRET ―忘れられない人―


「お前がまさかな…… 俺は応援するけど」


兄貴はちょっとしんみりした表情でそう言った。



ラーメン屋の前で渋滞ができていた。


兄貴は道路脇に車を停車した。



「ちょっと悪い」


兄貴は、携帯電話で電話をかけた。



相手はもちろん……




「もしもし、直? 俺だけど…… もうちょっと遅くなる。今、誠人を家まで送ってるんだ。いきなり高校まで俺に会いに来たんだよ。俺のこと好きなのかなぁ?」




兄貴は携帯を俺に渡した。



「もしもし、誠人です。新婚なのに、兄貴借りちゃってごめんね」


『いえいえ、とんでもないです。先生と誠人さんのツーショット見たかったなぁ』



兄貴は相当愛されている。


きっと、かわいいエプロンして、兄貴の帰りを待っているんだろうな。



兄貴は車を動かし、また渋滞の中へと巻き込まれる。



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