REGRET ―忘れられない人―
「あ~、奈美って今どこにいるかな?」
きっと心配してるだろうな、奈美は。
今日会うことを話すと興奮していたから。
『多分、実家だと思う。今日は夜勤じゃないはずだから』
直さんは完全に俺と奈美を誤解しているのに、こんなことを言ったもんだからますます誤解されたようだ。
『電話とかしてるんですかっ!』
「いやぁ、ちょっと相談乗ってもらってて、その報告をね」
直さんは、俺の声が兄貴に似ていると言って、喜んだ。
兄貴、大事にしろよ。
こんな嫁さんなかなかいないぞ。
ま、兄貴みたいな旦那もなかなかいねぇけど。
電話を切った後、兄貴は嬉しそうに携帯の待ち受け画面を俺に見せた。
結婚式で撮った写真で、兄貴も直さんもいい笑顔をしていた。
「お前も花帆と頑張れよ」
「花帆って呼ぶな!!」
兄貴とこんな風に話せるようになったのも、直さんと奈美のおかげ。
兄貴の結婚をきっかけにいろんなことが良くなっている気がする。