REGRET ―忘れられない人―
「もうすぐだろ?新婚旅行。楽しんで来いよ」
「あぁ、エロ本買ってくるから」
俺は、頼むからそれは忘れてくれと何度も言った。
兄貴、本気で買ってきそうだな。
「ハネムーンベイビーでも作っちゃおうかなぁ~」
兄貴、キャラ変わってる。
てか、こんな一面もあったんだよな。
俺の前では見せていなかっただけ。
きっと、直さんが兄貴を変えてくれたんだ。
兄貴も俺と同じで本当の自分をさらけ出せないでいたんだろう。
「また、いつでも俺んとこ来いよ。待ってるから」
相手は兄貴なのに、変な気分。
3次会で、直さんの親友の彼氏がスピーチで言ってた。
『先生はいつでも俺を受け入れてくれて、何かあるといつも先生が助けてくれる気がする』って。
俺、今そんな気持ちだった。
いつでも来いって言われて、ほっとした。
兄貴じゃないような……
本当に学校の先生に言われたような、そんな感じ。