REGRET ―忘れられない人―
「キスもしていない相手のこと、ずっと忘れられないなんて変だけど」
俺はひざに両肘を置き、大きく息を吐いた。
「キス、したでしょ?」
花帆は照れ隠しなのか、俺を笑わせることばかり言う。
「それは!!昨日だろ!!」
大きな声を出しそうになり、愛花ちゃんの存在を思い出す。
俺は小さな声で言う。
「ずっと忘れられなくて、いっぱい付き合ったけど……何か違うって気がして。でも、まさか会えると思ってなかったから」
「私も……まさか会えるなんて」
愛花ちゃんが寝言なのか、ちょっと声を出した。
本当によく眠るかわいい子だ。