REGRET ―忘れられない人―



「昨日、花帆に子供がいるって知って……俺は、また花帆が好きだと思った。いっぱい苦労したんだろうなって考えていると、どんどん大事になっていくって言うか……」



兄貴ならどんな告白をするんだろう。


俺は軽い言葉ならいくらでも言えるのに、こういう時、うまく言葉が出てこない。



「嫌じゃない?」



花帆の言葉に、俺は姿勢を正した。


少し目を細めて、花帆を見た。




「ああ。嫌だなんて感じなかった。俺が守りたいって思った」



今、一瞬兄貴が乗り移ったようだった。


兄貴ならこんなことを言うんだろうなって……



「そんなこと言ってもらえるなんて」



俺はそっと花帆に寄り添い、愛花ちゃんにバレないように花帆の肩に手を回した。

< 113 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop