REGRET ―忘れられない人―
「昨日、花帆に子供がいるって知って……俺は、また花帆が好きだと思った。いっぱい苦労したんだろうなって考えていると、どんどん大事になっていくって言うか……」
兄貴ならどんな告白をするんだろう。
俺は軽い言葉ならいくらでも言えるのに、こういう時、うまく言葉が出てこない。
「嫌じゃない?」
花帆の言葉に、俺は姿勢を正した。
少し目を細めて、花帆を見た。
「ああ。嫌だなんて感じなかった。俺が守りたいって思った」
今、一瞬兄貴が乗り移ったようだった。
兄貴ならこんなことを言うんだろうなって……
「そんなこと言ってもらえるなんて」
俺はそっと花帆に寄り添い、愛花ちゃんにバレないように花帆の肩に手を回した。