REGRET ―忘れられない人―
2歳になる愛花ちゃん。
2年間、花帆はどんな気持ちでいたんだろう。
「辛かっただろ」
俺の質問に、花帆は予想もしない返事をした。
「楽しかった。毎日、すごく楽しいの。この子がいるから」
金銭的には確かに厳しいし、頼れる男がいないことも寂しい、と花帆は言った。
でも、愛花ちゃんの存在が花帆を笑顔にさせているんだ。
「彼氏、できなかったの?」
俺がそう聞くと、ニヤっと笑った花帆は、気になるの?と俺の顔を覗き込んだ。
気になるよ。
当たり前だろ。
お前が好きだから。
「子供がいる女なんて誰も寄ってこないと思っていたんだけど、意外に結構モテたんだよね」
俺は不機嫌になり、ふーん……と冷たく答えた。
「でも、誰とも付き合ってないよ。愛花が一番だし」
まぶしい日差しに目を細める花帆。
俺は花帆と愛花ちゃんの顔を交互に見た。