REGRET ―忘れられない人―
「誠人~!!早かったね。ちょっと待ってね」
玄関まで走ってきた花帆は、少し声のトーンを落とし、俺の腕を引っ張った。
「愛花ちゃん、また寝てる?」
俺も小声で。
リビングは、美味しい料理の匂いが漂っていた。
何の匂いかわからないくらいいろんな種類の匂い。
「今、お弁当作ってるとこだから待ってて」
エプロン姿の花帆。
俺は手を洗い、愛花ちゃんの寝顔に近付いた。
夢を見ているのか、時々ニヤ~と笑う。
最高に癒されるんだけど……
俺は熟睡している愛花ちゃんに、ちょっと待っててねって呟く。