REGRET ―忘れられない人―
「そういえばさ、中学時代に付き合っててそのまま結婚したカップルとかいないのかな」
誰かのこの発言に胸が激しく高鳴った。
きっと誰も覚えちゃいない。
俺が花帆と付き合ってたなんて。
「誠人は、どうなったの?あの彼女と」
どうしようもなくドキドキした。
気持ちが中学時代へと飛んで行ってしまうような。
俺はビールをゴクリと飲んでから、口を開いた。
「あ・・・・・・そうだな。別れちゃったんだよな。どうしてんのかな、アイツ」
俺は、頭の中に花帆のことしかなかった。
でも、その場にいたほとんどの人の頭の中には、違う人が浮かんでいたようだ。
「あー!!山下さんだろ?高校行ってから遊びまくってたって聞いたぞ」
山下?
俺は名前すら忘れかけていた。
花帆と別れることになってしまった原因を作った女。
俺が花帆と付き合う前に付き合っていた彼女。
確かに派手だし、目立ってたし・・・・・・
みんなの心の中に印象深く残っていても不思議じゃないけど。
でも、
でもさ・・・・・・
俺が忘れられないのは、花帆なんだ。