REGRET ―忘れられない人―
【嘘です。チョコか香水でお願いします】
兄貴と、そんなメールのやりとりをしているうちに約束の時間が来た。
ドキドキにもいろんな種類がある。
仕事で大勢の人の前で話したりする緊張とはまったく違う緊張感に包まれていた。
10年以上の月日が嘘みたいに。
中学の頃、花帆と帰り道のコンビニで待ち合わせをしていた時に戻ったような気持ち。
―よぉ、遅かったじゃん!!
なんて言いながら、花帆の頭をコツンって突っついて、
俺達は一緒に下校した。
ずっと昔のことなのに、つい昨日のことのように鮮明に思い出してしまう。
サッカー雑誌に目を通してはいるが、内容は全く頭に入ってこない。
時計はちょうど4時。
うぅ……
トイレ行きたくなってきた。
やべ……
「あ、あの!!」
俺の左の肩あたりに、手が触れた。