REGRET ―忘れられない人―
「ごめんな。あの時……本当は俺、別れたくないって言いたかったけど、ガキだったから言えなかった」
「私も、本当は別れたくないのに、あんなこと言ってしまって」
暗くなると余計に素直に話すことができた。
「いじめられてたんだよな。花帆」
俺は薄暗くなり、ようやく花帆の顔を見て話すことができるようになった。
花帆は、少し笑った後、足をぶらぶらさせた。
「いじめっていうか…… 私も悪かったんだよね。泥棒猫って言われたから、悔しくて、じゃあ取り返してみれば?って言っちゃったんだ」
「まじで?お前が?そんなキャラだったっけ?」
驚いた。
ただ嫌がらせをひたすら耐えていたと思っていた。
そんな反撃をしていたなんて、ますます惚れる。
「女は、男が絡むと変わるのよ」
へ~と言いながら、俺は当時を思い出していた。
あの純粋そうな花帆が、そんなことを言ったんだ。
俺のこと、そんなに好きだったのかな。