REGRET ―忘れられない人―
キス
「お前だって、彼氏いたんだろ?」
俺は、ちょっとすねるような口調で花帆に聞いた。
高校で人気があるって聞いたことがあるし、
彼氏がいたって噂も耳にした。
「仕方なく……次の人を探したのよ」
花帆が足を揺らすたびに、肩と肩が当たって、ドキドキする。
もうすっかり真っ暗だ。
「その彼氏がファーストキスだったのか?」
「うん。あんまり嬉しくなかったけどね」
嬉しくなかったと聞いて、無性に嬉しくなる俺。
俺も足を揺らしてみる。
肩が当たる。
キス……か。
花帆のファーストキス、俺が欲しかったな。