REGRET ―忘れられない人―
俺は兄貴の向かいのソファに腰掛けた。
「したいとは思ってたけど、できるとは正直思ってなかった。何度か別れたし、もう終わりだと思ったこともあった」
知らなかった。
男兄弟だから、恋愛の話なんてしたこともないけど。
兄貴と直さんって絶対別れたりしないって思ってた。
やっぱりいろいろあるんだよな。
男と女だもんな。
周りから見ているとわからないこと、たくさんあるんだろうな。
兄貴は、今だから笑って話せるんだよ、と言った。
時々、遠い目をしながら兄貴は直さんとのことを話してくれた。
兄貴から一度、直さんから一度……別れを切り出したことを知った。
どちらもお互いのことを想っての別れ。
その二度の別れが、兄貴と直さんの絆をより深めたんだ。