REGRET ―忘れられない人―
一度目の別れは、兄貴から。
兄貴のマンションの周りには、兄貴に興味を持った女子生徒がうろちょろしていた。
直さんの友達だった女の子までもが、兄貴を追いかけ始め、兄貴は卒業まで身を引こうと思った。
でも、やっぱりふたりは離れられなかった。
直さんとよりを戻した兄貴は……ずっと言えなかった子供のことを話した。
兄貴の子供の存在を知って、自分が身を引けば、と考えた直さん。
そんな直さんの優しさが伝わってくるからこそ、兄貴はやり直そうとは言えなかった。
この話を聞いてから結婚式に出たかった。
でも、きっと俺、号泣しちゃうだろうな。
「誠人もやっと本気で付き合う相手ができたのか?」
俺は兄貴とは違うと思っていた。
でも、こうして話していると共通点があるもんだ。
この人って決めたら、一途なところ。
「何だよ。その言い方。まるで俺が適当に付き合ってきたみたいじゃん」
「違うのか?ひとりも俺に紹介してくれたことねぇだろ?」