レンアイ方法
「かえりました…」
息苦しい家に入る。リビングから話し声が聞こえた。
「かえり…」
「紘子さんの事は残念です…あれほどの才能を失うのは…」
知り合いの音楽関係者の人だ。
「もう、紘子は弾けないだろ?あの子は男がいたらしい…あんなのにいるから怪我をしたのだよ。それより…」
と父。
急いで自分の部屋に入った。
悲しい…
悔しい…
いろいろな気持ちが交差する。
それに更に…
「姉さん、入るよ?」
「どうぞ…」
涙を拭いて、妹を見た。妹は強い目であたしを見ていた。
また、言われる言葉が想像できた。
言わないで…
その思いは、届かなかった。
「姉さんさえ、怪我しなければ‥こんな事にならなかったのに!!」
そう怒鳴って妹は出て行った。
妹はあたしよりピアノの練習をしていなかった。むしろ、好きではなかったと思う。
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